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さっぽろ市民寄席、平成開進亭(2月扇遊二人会) [落語]

少し書くのが遅くなりましたが2月のさっぽろ市民寄席、平成開進亭(扇遊二人会)に先々週に行って来ました。私としては平成26年の今年の笑い初めです。(#^^#)

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会場:エルプラザ内3Fホール(札幌市北区北8条西3丁目)、

日時:2月13日(木)、開場18:30、開演18:50、入場料:一般 2,000円(65歳以上優待1500円各30名限定/要予約)

出演:桂枝光、入船亭扇遊

特にこの日は札幌での予定も入ってなく、寄席の為だけに電車に乗って出かけるか否か迷ったのですが、ひとり夕方から行って来ました。

いつもと通り、まずは腹ごしらえと、寒い日は温かいラーメンでしょうという事で、えぞっこパセオ店に入りラーメン餃子セットを食べて、お腹が満腹状態でエルプラザへ向かいます。

開場の10分前にはエルプラザの3階に到着しました・・・どうも今回も客の入りはイマイチの感じです。・・・w( ̄o ̄)w オオー!

開場時間になり、まったく混雑無い状態で当日券(まだ50歳台の私は優待受けれず2,000円)を購入して会場に入ります。

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いつもの通り階段席の中段より少し上の端側席・・・そして、混雑無い会場なので、これもいつもの通り端の4席をひとりゆったり気分で寄席を満喫しました。(^^♪

ざっと数えると50名程って・・・めちゃくちゃ空席目立ち過ぎです。最終的には80名程度に達したでしょうか?

これも最近は恒例ですが、何度も係りの人が前の席が空いているのでと誘導します。まあ、今回はちょっとだけシャレた表現で「本日は会場大変混雑が予想されますので、前の席へお詰め下さいますよう・・・」ちょっとだけウケました。でも前の席はパイプ椅子なのでお尻が痛くなるので駄目です。(-_-;)

会場に入って直ぐに気になったのが、中央にテレビカメラと思われる存在です。後に枝光さんの説明で分かりましたが、UHB(北海道文化放送)の撮影が入っていたそうです。


開演時間です。トン♪トン♪トン♪トントコ♪トントコ♪ピーヒャラ♪


◆◆本日の演目◆◆

桂枝光『千早ふる(ちはやふる)』

入船亭扇遊『夢の酒(ゆめのさけ)』

桂枝光『紙入れ(かみいれ)』

中入り

入船亭扇遊『家見舞(いえみまい)』

桂枝光『寝床(ねどこ)』

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プログラムには、毎回、枝光師匠の演目だけは書かれています。見ると「千早ふる」、「紙入れ」、「寝床」と書いていますが、「紙入れ」と「寝床」は最近聞いた記憶ありますが・・・直ぐに思い出せないのが私の記憶なんですよね。(;´д`)トホホ

先程、私のブログで検索すると、「紙入れ」は、昨年10月のさっぽろ市民寄席、大札幌落語会 其の二で枝光さんの聞いてました。その前が、同じく昨年7月のニトリ文化ホール「東西落語名人三人会」で桂歌丸師匠のを聞いてましたね。

そして、「寝床」は、昨年8月の平成開進亭100回記念で桂雀三郎師匠の素人浄瑠璃(しろうとじょうるり)を聞いてたのですが、これ寝床ともいわれてるやつなので記憶あったようです。共に思い出しましたが、昨年の話なのにパッと思い出せないのもショックかも・・・

ところで、気になるテレビカメラですが、「開進亭つれづれ」にも書いてましたが、月例独演会「ふじ寄席」と今回のさっぽろ市民寄席の様子を撮影して、夕方の報道番組「スーパーニュース」と、木曜日の「さあ!トークだよ」で放送されるそうです。「スーパーニュース」は何曜日か不明なので諦め、「さあ!トークだよ」は放送日時わかったので録画で奥さんとチェックしました。ちょうどテレビカメラが映している方向に座ってたので、もしかしてと思ったら・・・会場の私も写ってました。(#^^#) 会場のお客さん少ないので、探すの楽ってのも微妙です。まあ、席は後方上段なんで小さく映ってました。

枝光さんも空席は早速ネタにしたました。ソチのオリンピックでも空席目立ってましたが、その飛び火がこちらにも来たのかと、ソチの方は国柄もあり競技が始まると徐々に入り、終わる頃には一杯になるとか。こちらも終わるころには・・・ウケます。(^^♪

また何で、こんな日にテレビの取材が入るのかと嘆いてましたが・・・最近はこんな感じの客入りですから真実です。枝光さんと入船亭扇遊師匠が楽屋で、どうやって客を増やすか相談したそうです。これはネズミ講式しかないので、今日来たお客さんは次回は一人二人連れてきて増やしていこうとの作戦だそうです。しかし、まずは今日来たお客さんに次回も来て頂かないと連れてくる以前の問題ですよね。次回って3月5日ですからめちゃくちゃ間が近いんですが・・・私は?迷ってます。さらに、奥さん来るか?ハードル高そうですね。

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◆◆開進亭つれづれより抜粋◆◆

さっぽろ雪まつりも盛況のうちに閉幕し、冬のイベントも一段落というところですが、平成開進亭は毎月欠かさず笑いをお届けしてまいります。・・・本当に毎月継続、さらに、毎回ネタ3本は凄いことだし頑張ってるって感じます。(#^^#)

江戸落語は料亭などの座敷で客に話を聞かせる「お座敷芸」がルーツといわれ、上方のような派手なパフォーマンスはほとんどなく、じっくり語って聞かせる話芸が特徴です。本日のゲストの入船亭扇遊師匠、江戸古典落語がまさにぴったりの風貌。穏やかで落ち着いた語りです。

さて、今年も新ネタに精力的にチェレンジしている枝光師匠。本日は「千早ふる」のネタおろしです。トリネタは、「寝床」と、いつもながらパワフルで聞き応えたっぷりの三席をお楽しみください。

最後にお知らせを一つ。今年1月から枝光師匠の月例独演会「ふじ寄席」がスタートしています。会場はグランド居酒屋富士(札幌市中央区南5条西4丁目 富士会館ビル)14:00~。ここでも落語三席をたっぷり聴いた後に飲み放題&軽食の打ち上げも付いています。3,000円(終演後の飲み放題&軽食付き、17:30迄)。第3回が3月1日、第4回が4月5日にあります。・・・奥さんに教えてあげると、飲み放題&軽食付きは魅力の様で気になる様子でしたが、私も奥さんも日程が合わなく参加できそうもありません・・・w( ̄o ̄)w オオー!

◆◆演目のあらすじ◆◆

[るんるん]桂枝光『千早ふる(ちはやふる)』

「千早ふる」は、ネタおろしで、まくらは、歌繋がりで枝光さんのカラオケネタで、谷村新司(昴)、徳永英明(壊れかけのRADIO) 、フィンガー5(恋のダイヤル6700)と、枝光ワールド全開でノリノリに始まります。

知ったかぶりのご隠居のところに、学の無い男が相談にやってくる。男がいうには、娘が学校から帰ってくると友達を5人連れて部屋に閉じこもり、花札広げて博打をしているのだという。それがけったいな博打で、ひとりが大きな声で札を読み上げてると、ハイハイハイと札を取り合う過激な花札なんだとか。

隠居「そりゃ、花札じゃなくて、百人一首をやっているのだ」、男「いや、百人じゃなく6人一緒でやってます」、隠居「おまえ百人一首を知らないのか、簡単にいえばカルタのようなものだ」、男「どうりでおかしいと思いました」

男「問題は、娘が私が覗いているのを見て、ちょうど良かった歌の意味を教えてくれというんです。私の目の前に札を見せてね。書いている歌は・・・ちわわふる ポチもふったら しろもふる」、隠居「何を聞いて来た。それをいうなら、千早ふる(ちはやふる)の間違いだ。違うか?」、男「そうです。よう分かりましたな」、隠居「みんなが知ってる有名な歌だよ。千早ふる 神代も聞かずたつた川 からくれないに 水くぐるとは」、男「そうです。その意味を教えてくれと、こんな事をいうんです。なんとも親不孝な事をね」

男「まてと、俺は便所へ行こうと思ってるんだといつたんですが、まわりの友達は俺が意味を知らないんで便所へ行ったんだと影口いってるから、急いで家を抜け出して、ご隠居に意味を聞きに来たんです」、隠居「お前は、その歌の意味を教えてくれたと来たのか?そんな大事な事を聞きに来るなら3日前に電話をするとか、電報を打つとか出来んのか」、男「頼みますは、これじゃ家に帰れません」

隠居も意味など分からないので、いい加減にごまかそうとするのですが、男も引き下がらないので、教えてくれじゃ駄目だ、一緒に考えないと駄目だと苦し紛れに適当な事をこじつけで話して聞かせます。

千早ふる 神代も聞かずたつた川・・・たつたかわは、相撲取りの名だ、田舎から出てきて一心不乱に稽古して大関にまで出世したが、女(吉原の千早太夫)にフラれ相撲取りが嫌になって故郷に帰って家業を継いで豆腐屋になる。ある日、ボロをまとった女の物乞いが一人。その女が千早太夫のなれの果て。オカラをくれというが、二人とも昔の事を思い出し、オカラなどやれない、もらえない。千早太夫は、フラフラと近くにあった井戸に落ちて、死んだという哀れな話しだ。これがこの歌の解釈だと隠居は自慢げにいう。

という事は。千早太夫に振られたから「千早ふる」、神代も言うことを聞かないから「神代も聞かずたつた川」、オカラをやらなかったから「からくれないに」、井戸へ落っこって潜れば「水をくぐる」という歌・・・

男「最後の、とは、何ですか」、隠居少し考えて「思い出した。千原太夫の本名が、とは、だった」

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[るんるん]入船亭扇遊『夢の酒(ゆめのさけ)』

大黒屋の若だんなは、店の奥へ行って見えないと思ったら昼寝の真っ最中です。夢を見て何やらニタニタ。

かみさん「あなた、起きて下さい。こんなところで寝ていると風邪でもひきますよ」、若だんな「あっ、すみません。もう少し・・・何だよ、オハナか」、かみさん「オハナか?じゃありませんよ」、若だんな「なんだよ、いきなり起こして、せっかくこれからって時に・・・」

かみさん「あら、これからって、何かいい夢でもみてたんですか?どんな夢だったか話して聞かせてくださいよ」、若だんな「話してもいいけど、おまえ、怒るといけないから」、かみさんがしつこく聞くので、怒らないならと約束して、若だんなは話し始める。

向島に用足しで出かけると、ポツリポツリと夕立に遭った。傘も持ってないので近くの家の軒下を借りて雨宿りをしていると、そこの女中が出てきて「そこじゃ雨に濡れるから中へどうぞ」って、いうんでね、入れてもらったんだよ。すると女中が顔を見て「あら、大黒屋の若だんなじゃないですか?」ってね、俺の事を知っているんだよ。

女中「ご新造さん、あなたが終始お噂の、大黒屋の若だんながいらっしゃいましたよッ」と、奥へ声をかけるっての「そうかい」と、出てきたご婦人を見て・・・歳のころ二十五、六、色白で鼻筋も通ったいい女。まあ、よくいらっしゃいました。どうぞお上がりくださいどうぞと、中へ押し上げられた。上がって挨拶をしていると、直ぐに酒や肴が出てきた。ご新造に「お一つどうぞ」とお酌をされた。

かみさん「あなた、まさかそれを飲んだんじゃないですよね」、若だんな「だから断ったよ、家の親父は三度の飯より酒好きですが、あたしは一滴も頂けません、どうぞご勘弁ください」とね。

断っても、ご新造は勧め上手で、まさか毒も入ってないんですから、お一つ召し上がれって言われると、ついその気でお銚子三本ものんだかなと話すと、かみさんは「あなたっていうひとは」と怒りはじめるが、続きを催促するので、怒っちゃいけないよと・・・

そのうちご新造が三味線で小唄に都々逸だ、その顔をじっと覗きこむと、その色っぽいこと、頭がくらくら。飲み慣れない酒を飲んだので頭が痛くなったというと、奥に床を引いて休んでくれと、そして横になっていると、ご新造が看病してくれてたんだが、若だんなの蒲団の裾の方へと・・・長襦袢の女がスーッと・・・

かみさん「悔しー、あなたというひとは、見ず知らずの女と・・・」大声で叫び出す、その声を聞きつけて大旦那がやってくる「昼日中から何てざまだ」と若夫婦を叱ると、かみさんが泣きながら訴える。

親父は「そりゃオハナが怒るのも当然だ。なんてえ、おまえはふしだらな男」と怒り出す。若だんなは、冗談言っちゃいけません。これは夢の話ですと、夢ならとあきれると、かみさんも、日ごろからそうしたいと思っているから夢に出るんですと、引き下がらない。

挙げ句、親父に、その向島の家に行って、なぜ、せがれにふしだらなまねをしたと、文句を言ってきてくれと頼まれ、そんあ都合のよい夢を見れるかといいながら横になる・・・

女中「ご新造さーん、大黒屋の大旦那がお見えですよ」、女が出てきて「あらまあ、どうぞお上がりを」。せがれが先刻はお世話になったと上がり込む。

女中がお茶を持ってくると、女は「ばかだね。お茶を持ってくるやつがありますか、早く燗をつけて・・・何、火を落とした・・・早くおこして持っといで」

その間、冷酒で召し上がったら、いや、冷酒はいただきません。火をおこすのを待ちますから、お燗はまだかと、言っているところで・・・起こされた。

親父「うーん、惜しいことをしたな」、かみさん「お小言をおっしゃろうというところを、起こしてしまいましたか?」、親父「いや、ヒヤでもよかった」

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[るんるん]桂枝光『紙入れ(かみいれ)』

前述した通り、「紙入れ」は、昨年10月のさっぽろ市民寄席、大札幌落語会 其の二で枝光さんの聞いてますので2回目となります。

まくらは、ある夫婦の話から、夫婦でゴルフに行って奥さんは上手じゃないのですが、奥さんの打ったボールは、ピンそば2mで入るとバーディ、「まあ嬉しい、私これが入ったら死んでもいいわ」、ご主人「じゃあ、オーケー」

あるご主人が隠れてホテルで浮気を、家に戻って誤ってホテルのマッチをテーブルに置きハッ!とすると、何故か慌てて奥さんが素早くマッチをポケットにしまった。

奥さんが大きな寝言で「ダメ、主人が帰って来た」と言うと、横で寝てた旦那が慌てて逃げて行く。そんな不倫の話から・・・

貸本屋の新吉は世話になっている出入り先の旦那の女将さんに誘惑されている。今日も旦那が留守だからと手紙をもらいやってきて女将さんにせまられていたのだが・・・

女将さん「ねえ、新さん、私の手紙を読んでくれたのかい」、新吉「読んでは来ましたが、お話があって参りました、こんな事を旦那様にバレたらと思うと夜も寝れません」、そんな他人行儀な気の小さな男だと女将さんは新吉に言い寄るのでした。

そしていよいよクライマックスという時に、突然表戸をドンドンとたたく音。いきなり旦那がご帰宅、慌てた新吉は女将さんの計らいで辛うじて危うく裏口から脱出した。

「おい、開けねえか」、うまいこと新吉を逃がした女将さんは、今まで、はばかりに入ってた風を装って大きな音を立てて「お早いお帰りで」とアカデミー賞ものの演技をするのでした。

一方、家に戻った新吉は「あーびっくりした、あんなところに旦那が帰ってくとは思わなかった」、もうやめようと決意する新吉だったが、忘れ物は無いかと確認すると「煙草入れはある、紙・・・紙入れが無い」旦那からもらった紙入れを何と火鉢の側に忘れてきた事に気づく。しかも、紙入れの中には女将さんからもらった手紙まで入っている。

どうしたものかと考えていると夜が明けて朝になる。このまま何処かへ逃げようかとも考えたが、とりあえず旦那の様子を探ろうと朝一番に再び旦那の家を訪れる。

出てきた旦那に色いろと探りを入れるがどうも話しが噛み合わない。そこであるお世話になった方の女将さんという事にして一部始終を話して旦那に相談する。

そこへ浮気相手の女将さんが通りかかったので旦那は今聞いた話を女将さんに話して聞かせる。女将さんは「浮気するような抜け目のない女だよ、何か落ちていれば大変だからと時間稼ぎして忘れ物は無いか確認して、紙入れは旦那が気づく前にしまっちゃうよ」と新吉を安堵させる。

旦那が笑いながら続けて「まあ、たとえ紙入れに気づいたって、女房を取られるような馬鹿だ。そこまでは気が付くまい」。

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[るんるん]入船亭扇遊『家見舞(いえみまい)』

義理という仲間内の付き合い、まあ、冠婚葬祭ですかね。それだけは欠かないのが江戸っ子。銭の無い時は、その女房を質に入れてでも金を工面してでも付き合いをしていたといいます。

そんな金の無い二人の話です。「まあ、しょうがないじゃないか、今度、兄貴が所帯を持ったんで所帯祝いを持って行くっていってたじゃないか、ところが、まわりの奴はもう持ってたとかいってる。仲間外れだよ俺とお前だけが」

こっちは桐のたんすでも二人で持って行きたいんだがと、「ところで、いくら持ってるんだ」と、お互いの金を確認する。「銭か、懐かしいなあ・・・」聞くと26銭、しけたやろうだという自分も24銭、二人合わせても50銭しかない。「まあ、しょうがないなあ、この50銭で桐のたんすでも買おうか」、「50銭で桐のたんすが買える分けないだろうが」

しょうがないと、二人が向かったのは、「何か分けのわからない物が置いているから」と道具屋。その道具屋の親方に兄貴の所帯祝いに適当なのが無いか相談する。

親方が、分かったとばかり、座敷の物で枕屏風、いくらか聞くと60円・・・、舶来の時計、いくらか聞くと40円・・・、台所の物で水カメ、いくらか聞くと6円・・・

どうも値段が高いというので、いくら持ってるんだと聞くと50銭しかもってない事が分かる。二人で50銭しか無いから頼むと泣きつかれるが、親方は「無理だと、どこの世界に50銭で買えるカメがあるんだ」、「カメ?」と親方は店の裏に置いてあるカメを思い出す。

親方「お前ら、カメならどんなカメでもいいんだな」、男たち「50銭で買えるなら、なんでもいい」と3人でカメを見に行くと、裏には汚いカメがあり水が入ってる。男たち「変な形をしたカメですね、何のカメですか」と親方にしつこく聞くと、親方「何のカメって、分からないかな、こないだ家の取り壊しがあって掘り起こして来たんだ」

カメはカメでもはばかりの肥瓶(こいがめ)と分かり、そりゃ駄目だと騒ぎ出すが、値段が30銭だと分かると、これでいいかとカメを買って二人で兄貴のところへ持って行く。入れてた水を出したのでカメは臭いのなんの・・・そこで兄貴の家に着いたら気を引いてるうちに台所にカメを置いて水を入れることにした。これなら臭いを防げる。

所帯祝いを届けると兄貴は大喜び、飯を食っていけと言われて、出てきたのが奴で一杯やってくれと豆腐「冷たい奴はツルってして美味い・・・」豆腐が水に浮いている、「この水はどこから汲んだ水ですか?」、「すみません、あっしら豆腐を断ってました」

兄貴「それじゃかくやはどうだ」と、二人「そりゃいい、古漬はかくやに刻んで、ザルに入れて水に浸して・・・」水は良くない、「すみません、かくやも断ちました」

兄貴「しょうがねえ、どうだ、おまんま食ってくか、焼きのりしか無いが」、焼きのりなら水は使わないからと喜ぶ二人です。二人「姉さん気が利くね。炊き立てのおまんまに焼きのりだよ」、「アツアツのおまんまに、おかずは要りませんね。美味いね・・・」

おまんまから湯気が立ってる「どこの水を使って焚いたのでしょうか?」、兄貴「そりゃカメの水だよ」、二人「おまんま断ちました」ゲホゲホと咳き込む二人、兄貴「しょうがねえな、おい、おっかあ、水を一杯持ってきてくれ」

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[るんるん]桂枝光『寝床(ねどこ)』

前述した通り、「寝床」は昨年8月の平成開進亭100回記念で桂雀三郎師匠の素人浄瑠璃(しろうとじょうるり)を聞きましたが、「寝床」と「素人浄瑠璃」の違いは・・・

まくらは、落語、歌舞伎の古典芸能から義太夫、素人浄瑠璃へと展開していきます。

下手な語りは、本人は満足しているが聞いている方は大変な迷惑で聞かされる方は地獄です。ある大家の旦那もそんな類の一人で、すぐ他人に語りたがるが、あまりにも下手なので、長屋の店子たちは誰も聞きたくないのが本音です。

そんな事を旦那は知らないのか今夜も披露するとの事で自慢のノドを聞かせようと大張りきり、店の者に座布団を並べて会場の準備やらご馳走の作らせているのです。「今日は溢れんばかりのお客さんが来るかも知れないから準備にぬかりのないようになあ」

そこへ近所に浄瑠璃の会の誘いに行ってた店の者が戻ってきました。

早速、旦那は「提灯屋さんには伝えてくれたか」と聞きます。「旦那さんいって来ました、提灯屋さんは喜ぶのなんの、涙を流さんばかりの喜びようでした」旦那「それで提灯屋さんは直ぐにでも来られるのか?」と聞くと、提灯屋は開店祝いの提灯を山のように発注され徹夜の作業になるので来れないとの事です。旦那「そりゃ残念だ、提灯屋さんには、日を改めてさしで1対1で濃い浄瑠璃を語って上げましょう」

旦那「次、豆腐屋さんはどうだ」と聞くと、豆腐屋は親戚の法事に出す生揚げやがんもどきなど覚えきれない程たくさん発注されて忙しくて、夜通しの揚物作りで来れないそうです。

旦那「それじゃ、小間物屋は」、女房が臨月なため、浄瑠璃を聞いている間にオギャと生まれたら大変なので、今日のところは無理との事です。

旦那「金物屋は」、親が急病で外に出掛けることができないそうで・・・、旦那「長屋の連中はどうした」、奥に住んでいたやつが昨日ポックリと無くなりまして、今晩は夜通し掛かっておくらねばならないので・・・

旦那「いったい誰がくるんじゃ」、「誰も来ません」、それならと、旦那「今日は、特別に店の者たちだけに聞かせよう」と言い出すと、これまた、一人一人の理由(仮病)を付けて聞けないという。

旦那「そんなにお前らは、私の浄瑠璃を聞きたくないと言うんだな、皆してバカにして」、頭に来た旦那は、豆腐やも提灯屋も家を出てってもらう、店の者は全員クビだと言って不貞寝してしまう。これは大変だと近所や長屋の一同に頼んで観念して義太夫を聞いてもらう事にします。皆が都合を付けてさわりだけでも聞きたがって集まってるので披露して欲しいとおだてると、機嫌を直して「どうしても聞きたいのか、それじゃさわりだけ」と再び語ることにした。

旦那は慌ただしく準備をし直し、張り切ってどら声を張り上げている。そのころ店の方には「こんばんは」と皆が集まってきます。番頭は皆さんに渡したいものがあると「いざとなったら使ってください」と皆に耳栓を渡します。

そして、いよいよ旦那が登場して、本人は絶好調だと大満足して浄瑠璃を始めます。ひどい声で始まりました・・・皆はワーワー言いながら酒と料理を食べ終わると、耳栓で雑音の浄瑠璃も聞こえませんからお腹も満腹になり一人二人と眠くなります。

そんな事とも知らずの旦那さんも、皆はどんな顔で聞いているんだと、皆の様子を見ると、皆マグロのようになって寝ているではありませんか。旦那「何だ、こいつらは、皆で私の浄瑠璃を聞いてると思ったら寝てるじゃないか」、ふと見ると奥の方で定吉が泣いています。

旦那「おー、定吉だけだな、皆が寝ているというのにお前だけが聞いてくれている、浄瑠璃を聞いて泣いてくれている」、定吉「私は、浄瑠璃を聞いて泣いてるんじゃありません。皆が寝ているのに私一人が寝る事ができません」

旦那「なんで、お前だけが寝れないんだ」、定吉「ちょうど、旦那様が語っている場所が、私の寝床です」

演題の「寝床」と「素人浄瑠璃」の違いは、サゲ(オチ)の部分と聞いてましたが、最後に大混乱で終わるのが「素人浄瑠璃」で、今日のは「寝床」で納得です。

 

 

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◆平成開進亭のさっぽろ市民寄席の予定◆

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[るんるん]平成開進亭(3月彦いち二人会)

開演 2014年3月5日(水) 18:50~ 桂枝光, 林家彦いち

会場:男女共同参画センターエルプラザ3Fホール、料金:一般 2,000円(全席自由)、ぶんぶんクラブ会員優待:1,800円(30名限定/要予約)

[るんるん]平成開進亭(4月文治二人会)

開演 2014年4月12日(土) 14:00~ 桂枝光, 桂文治

会場:男女共同参画センターエルプラザ3Fホール、料金:一般 2,000円(全席自由)、65歳以上優待1500円(30名限定/要予約)

[るんるん]平成開進亭(5月権太楼の巻)

開演 2014年05月16日(金) 18:50~ 柳家権太楼, 桂枝光

会場:男女共同参画センターエルプラザ3Fホール、料金:一般 2,000円(全席自由)

[るんるん]平成開進亭(6月喬太郎二人会)

開演 2014年06月16日(月) 18:50~ 柳家喬太郎, 桂枝光

会場:男女共同参画センターエルプラザ3Fホール、料金:一般 2,000円(全席自由)

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◆入船亭扇遊さんについて◆

入船亭扇遊(いりふねてい せんゆう)1953年7月5日生まれ。静岡県熱海市出身。

1972年11月、9代目入船亭扇橋に入門、前座名扇ぽう。

1977年03月、二つ目昇進で、初代扇好襲名。

1985年09月、真打昇進。

◆桂枝光さんについて◆

2代目 桂枝光(かつら しこう)。1948年年02月23日生まれ。 大阪府大阪市出身。出囃子は夫婦万歳。紋は結び柏。
 
よしもとクリエイティブ・エージェンシー札幌事務所所属。上方落語協会会員。

1978年10月、桂文枝の11番弟子として入門。高座名は桂小つぶ。

結婚、子供2人に恵まれたが、その子供が後に罹った喘息を改善させるために北海道へ移住した。

1996年8月、2代目桂枝光を襲名。師匠の死後は、再び故郷である大阪に拠点を移した。現在、札幌市豊平区平岸に住む。

2005年、札幌で寄席ブームを復活させようとさっぽろ市民寄席として「平成開進亭」を立ち上げ活動している。

◆平成開進亭について◆

平成開進亭(へいせいかいしんてい)は、桂枝光さんが席亭を勤め、立ち上げた札幌市の「さっぽろ市民寄席」です。

寄席ですが、実際には小屋を持たず、札幌市内のホール等で定期的に開催されています。明治時代に札幌にも寄席があり、「席亭山下」、「開進亭」、「松進亭」、「札幌亭」、「金沢亭」、「丸市亭」、「南亭」などで、いずれも現存してません。

その中の「開進亭」を改め「平成開進亭」として平成17年5月から毎月活動している。

 


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